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  労働者文学作品集

短歌        中村 昇

大 相 撲

客席に隙間の見える大相撲力士の元気も一つ欲しい

パソコンで年賀はがきを刷りだして癖字を恥じることなくなりぬ

職辞めて二十余年のたちまして年賀はがきの数の減りたり

おそ足の象徴なれど飼亀は歩きもすれば速足もする

年取りて社会の隅に追いやられ裁判員の声も掛らぬ

地下鉄の改札出たる階段にビル風強く吹き下りてきぬ

高々と着信音の響き来てやおら爺の携帯開く

夜の更けに空気乾くと知らせつつ鐘を鳴らして消防車くる

この春に孫が結婚するという偉い齢になりてしまいぬ

福袋に並ぶ人いる町近く多くの人が炊き出しを待つ

(『労働者文学』75号、2014)

宴 会

宴会にまだ間がありて用もなくホテルの居間に大相撲観る

知らぬまに額の徐徐にひろくなり頭の変化おおうすべなし

目の下の海に入港待ちをする船並びおり広き間合いに

空空の新幹線の白由席雨の雫の斜めに走る

家家の明かりが徐徐に点きはじめ新横浜を列車は過ぎる

のど痛や膝の痛みを誰も彼も老いの歎きと聞いてくれない

あたふたと携帯電話取り出してせわしく指を動かす人ら

フクロウが巣箱の奥にねむりいて呼びかけ声に片目をあける

面倒なことども増える衣替え春と秋との変わり目嫌い

伊勢原をすぎるあたりに稲畑のひろがり秋の景色となれり

(『労働者文学』74号、2013)

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